不動産の所有者が亡くなったときは、必ず相続登記の手続きが必要です。
遺産分割協議が成立したら、早めに、相続登記手続きをされることをお勧めします。
相続登記に必要な書類が揃いましたら、遺産分割協議書を作成いたします。
遺産分割協議書に、各相続人様の署名、実印の押印をしていただきます。
その後、不動産を管轄する法務局に、相続による名義変更申請を行います。
相続登記が完了しましたら、
登記識別情報など登記完了書類をお渡しして、
相続登記の手続きが完了します。
相続登記に、必要な書類(基本的なもの)は、以下のとおりです。
相続登記に必要な書類(基本的なもの)
・遺産分割協議による相続登記の場合 -お客様に調えていただく書類-
1 | 被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍謄本 一式 |
---|---|
2 | 被相続人の戸籍附票 1通 |
3 | 相続人全員の戸籍謄本 各1通 |
4 | 相続人全員の印鑑証明書 各1通 |
5 | 遺産分割により対象不動産を取得する方の住民票(3カ月以内) 1通 |
6 | 対象不動産の固定資産評価証明書 1通 |
7 | ご本人を確認できるもの 例 運転免許証、パスポートなど |
当方が作成した後に、お客様に押印いただく書類
1 | 相続登記申請の委任状 |
---|
当方が作成した後に、相続人全員に押印いただく書類
1 | 遺産分割協議書 |
---|
相続手続きの流れ
被相続人が死亡(相続の開始) 通夜、葬儀、告別式の後の手続き
7日以内 | 死亡届を提出する 死体火葬許可申請書を提出する |
---|---|
14日以内 | 世帯主変更届を提出する 銀行預金の封鎖、公共料金など各種名義を変更する 遺言書の有無を確認する(公正証書遺言検索サービスなど) 相続人調査を開始する(相続関係説明図の作成) 相続財産、負債の調査を開始する(財産目録の作成) |
3カ月以内 | 相続放棄、限定承認の手続きをする |
4カ月以内 | 被相続人の準確定申告を行う 相続財産を確定し、評価する 特別代理人を選定する(相続人の中に未成年者がいる場合) 遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する 遺産の名義変更をする |
10カ月以内 | 相続税の申告、納付をする |
相続の種類
単純承認
被相続人の財産上の権利義務を、無条件で引き継ぐ相続の方法を、単純承認といいます。
相続開始を知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所で「限定承認」または「相続放棄」の手続きをしないときは、相続を単純承認したとみなされます。
また、「限定承認」または「相続放棄」の手続きをする以前に、相続財産の全部または一部を処分(預貯金の消費、不動産や株式の換金)したときも、単純承認したものとみなされます。
さらに、「限定承認」または「相続放棄」の手続きをした後でも、相続財産の一部を隠したり、
ひそかに消費したときは、単純承認したものとみなされます。
もし、相続財産が、預貯金や不動産などのプラスの財産よりも、借入金などのマイナスの
財産の方が多かった場合に、相続を承認しますと、その債務は、
相続人の固有財産から返済しなければなりません。
相続が開始したときは、すみやかに相続財産を調査することが大切です。
限定承認
相続財産が債務超過かどうか不明なときには、「限定承認」という相続の方法があります。
これは、ひとまず相続はするけれども、それはプラスの財産の範囲内で債務を返済し、
相続人の固有財産を持ち出してまでは返済しない、という相続の方法です。
限定承認の手続きは、相続人全員が、相続開始があったことを知ったときから3カ月以内に、
家庭裁判所に、財産目録などを提出して、限定承認する旨の申立てをします。
相続放棄
相続財産に多額の債務があり、債務超過が明らかなときや、相続に伴うトラブルに
巻き込まれたくないときは、相続財産の一切を放棄することができます。
相続放棄の手続きは、相続開始があったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所に、相続放棄する旨の申立てをします。
「遺言なんて作らなくても、まだ大丈夫。」
と思っていませんか?
遺言を作らずに、口約束だけで、お亡くなりになると、
後で遺産をめぐって争いになることがあります。
法律に定められた法定相続分ではなく、ご自分の特別の意思がある場合は、
遺言書を作られることをお勧めします。
遺言さえあれば、相続をめぐるトラブルをさけることができたケースがたくさんあります。
たとえば、このようなケースでは、遺言を作成されることをお勧めします。
- 夫婦間に子供がいない場合
-
たとえば、夫が遺言を残さないで亡くなったとき、
夫の遺産をどう分けるかについて、
妻と夫の兄弟姉妹が話し合いをする必要があります。この話し合いが円滑に進まず、仲たがいの原因となることが多いのです。
- お世話になった人や、お寺、教会、社会福祉事業団体などに
遺産を寄付したい場合 -
ご本人が遺言を残さないで亡くなったとき、相続人が、寄付を認めないことがあります。
- 農業その他の事業を特定の相続人に承継させたい場合
-
法定相続分によると、農業者の農地や会社の株式などが細分化され、
事業の継続が困難となることがあります。
遺言を作成しないまま、お亡くなりになったとき…
事例
遺言を作成しないまま、お亡くなりになると、
以下のような問題が起こることがあります。
Aさんは、奥さんのBさんと二人暮らしでした。お子さんはおられず、
ともに両親はすでに亡くなっています。
Aさんは、癌のために亡くなりました。Aさんは4人兄弟の長男であり、他に兄弟は、弟が3人います。
Aさんの遺産の法定相続人は、奥さんのBさんと、Aさんの兄弟です。
生前に、Aさんは、遺言を作っていませんでした。
Aさんの遺産を分ける話し合いは、当事者が多数のためにまとまらず、裁判により解決しました。
裁判のために多額の費用がかかり、親戚の間に大きな溝ができてしまいました。
このような子供のいない夫婦の場合、夫が生前に「妻に全財産を相続させる」と遺言を作っておけば、
妻は、全遺産を誰に気兼ねすることなく、相続できるのです。
遺言とは、自分の考えで自分の財産を処分できる明確な意思表示です。
遺された妻のしあわせを考えるうえでも、遺言は、元気なうちに、
しっかりと書いておかれることをお勧めします。
正しい遺言を残すには ~遺言の方式~
遺言の方式は、民法が定めています。
民法の定めた方式に従って作成された遺言のみが、有効なものとされます。
民法の定めている遺言の方式には、次の種類があります。
特別の方式の遺言は、死期が差し迫っている危急の場合や、
伝染病で隔絶入院したり、船舶で航海している隔絶者の場合に行われます。
普通の方式 | 自筆証書遺言 |
公正証書遺言 | |
秘密証書遺言 |
特別の方式 | 危急時遺言 (臨終遺言) |
隔絶地遺言 |
・自筆証書遺言
自筆証書の遺言とは、紙に、筆またはペンで遺言の内容の全文を自分で書き、
作成の日付を入れて、署名押印して作成します。
文字どおり全文を自書すればよいので、一番簡単な遺言の仕方です。
自筆証書遺言の注意点は、以下のとおりです。
パソコン、テープレコーダー、ビデオにより遺言を作成することは、認められていません。
遺言内容を加除訂正するときは、変造を防ぐ趣旨から、訂正した場所に押印し、
さらに、どこをどのように訂正したかということを付記して、そこにも署名しなければ、
その加除訂正は無効とされます。
相続が開始した後、家庭裁判所で検認手続きを経る必要があり、費用と手間がかかります。
・公正証書遺言
公正証書遺言は、遺言者が、証人2人以上の立会いのもとで、公証人に遺言の趣旨を述べ、
これを公証人が公正証書として作成するものです。
公正証書遺言は、家庭裁判所の検認手続きが要りません。
・秘密証書遺言
遺言者が、遺言の内容を自分の生前は秘密にしたいが、
その存在だけは明らかにしておきたいという場合に作られる遺言のことです。
秘密証書遺言は、遺言者が遺言書に署名押印し、その遺言書を封じ、
遺言書に用いた印章をもって封印したうえ、公証人1人および証人2人以上の前に、
遺言者が、封書を提出して手続きを行います。
秘密証書遺言の証書は、自筆でも、パソコンで作成したものでも構いません。
・危急時遺言(臨終遺言)
病気やけがなどで死亡の危急が迫った人が遺言しようとするときに認められる遺言です。
・隔絶地遺言
隔絶地遺言とは、遺言者が、一般社会との交通が断たれた場所にいるため、
普通方式による遺言ができない場合に認められる遺言のことです。
伝染病隔離者遺言と在船者遺言が、法律で定められています。
・伝染病隔離者遺言(一般隔絶地遺言)
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にある人のために、
特別の方式が認められた遺言のことです。
伝染病隔離者遺言をするためには、警察官1人および証人1人以上の立会いが必要です。
・在船者遺言(船舶隔絶地遺言)
船舶中にある人のために、特別の方式が認められた遺言のことです。
在船者遺言をするためには、船長または事務員1人および証人2人以上の立会いが必要です。
平成27年1月1日現在
相続登記
基本報酬 (消費税込) | 5万4000円から |
---|---|
備考 | 税額加算、筆加算、証明書取得手数料加算があります。 |
必要経費 (手数料など) | 登録免許税 固定資産税評価額の1000分の4 証明書発行手数料 |
公正証書遺言作成
基本報酬 (消費税込) | 10万8000円から |
---|---|
必要経費 |
公証人の手数料 1万6800円から ただし、対象財産の価格により加算します。 内容によりますが、 提出書類取得費用 例 不動産登記事項証明書 |
自筆証書遺言作成
基本報酬 (消費税込) | 5万4000円から |
---|
遺言執行者報酬
基本報酬 (消費税込) |
執行対象の価額 (相続・遺贈財産にかかわる財産評価基本通達による相続財産評価額 〔消極財産控除前〕)の1.575%以内の額 ただし、最低30万円 |
---|
遺言書の検認
基本報酬 (消費税込) | 5万4000円から |
---|---|
必要経費 | 印紙 800円 予納切手 提出書類取得費用 |
(注) 遺言執行者の報酬は、遺言書の作成の際に、業務内容に応じて計算します。
基本報酬は目安としてください。
- Q1
- 未成年者でも遺言することは可能ですか?
- A1
-
民法では、満15歳に達した人は、遺言能力を有すると定めています。
未成年者でも、法定代理人の同意を必要とせず、遺言をすることができます。
- Q2
- 自筆証書遺言書を発見したときは、どうしたらよいのでしょうか?
- A2
-
自筆証書遺言書を発見したら、
すみやかに家庭裁判所に「遺言書の検認」を請求してください。
遺言書の偽造、変造、隠匿などを防ぐため、
遺言書の保管者または遺言書を発見した者は、
遅滞なく、遺言者の死亡した地の家庭裁判所へ遺言書を提出し、
「遺言書の検認」を請求することが義務付けられています。
なお、偽造、変造などのおそれのない公正証書遺言は、検認の手続きは不要です。
- Q3
- 公正証書遺言の証人には、どのような人がなれますか?
- A3
-
公正証書遺言を作成するためには、2人以上の証人が必要です。
民法で、以下のような人は、証人にはなれないと定められています。- ①未成年者
- ②推定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族
- ③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人